たとえば、会社のミーティングである文章が書かれた
書類を手わたされ、「それ、読んでみて」と言われ、
その直後「どう思う?」と問われる。
最初から最後までひと通り読んだけど、意見を言える
ほど理解できていない。
ましてや、読み終わって1分も立ってないのに書いて
ある内容すら頭に残ってない。
まともに答えることもできず、それを恥じてか、
口ごもってしまう。
そんな苦い体験から、本を読んで、きたえ直そうと
本屋に駆け込んだり、電子書籍を検索したり、スマホで
新聞を読みあさったりした経験はありませんか。
でもこれ、時間をムダにするだけで結果は同じです。
読む本の量を増やしても、たくさんの記事を読んでも、
スラスラ読めるようになるだけでナニが書いてある
のかサッパリ、と変化がないことを自覚した人も
中にはいると思います。
そして、やっぱり「バカだから」とか「苦手だから」
とあきらめる。
「バカだから」「苦手だから」「成績が」が原因じゃない
頭に残らない、理解できない、これは「バカ」とか
「苦手」とか「国語の成績」が原因じゃないんです。
“ よみかた ” を知らなかっただけなんです。
たとえば、経済のニュースで
『東京株式市場で時価総額10兆円以上の企業が
増えてきた。世界景気の先行き懸念が残るなか
安定した利益成長や株主還元が見込める企業が
選ばれている。』
のような記事があるとします。
これも、漢字が読めればスラスラ読めます。
2回、3回読むと、さらにスラスラ読めるように
なります。
たとえば、
『The station is about 5 minutes from here.』
のような英文。
これも学校で習ったような英単語が並んでいる
だけなので「ザ ステーション イズ・・・」と読める
人は多いと思います。
本をたくさん読んでも、新聞記事をたくさん読んでも
頭に残らない、理解できないのは、この “ ただ読む ”
で終わっているからです。
つまり、文字をひたすら目で追っているだけ。
そして、たくさん読もうと努力する行為は、目で
追う作業を別の本や記事で、また繰り返している
だけなんです。
日本語は知ったかぶり
例にあげた経済ニュースの一文。
『東京株式市場で時価総額10兆円以上の企業が
増えてきた。世界景気の先行き懸念が残るなか
安定した利益成長や株主還元が見込める企業が
選ばれている。』
ニュースに触れていれば、ほぼ毎日見たり聞いたり
するような文字が並んでいます。
だからなんとなく意味はわかる、と私も思っていました。
でもこれは、大きな勘違いです。
じゃあ、実際に「この記事の内容についてどんな
ことが書かれているのか、具体的に説明して」と
問われると
『え〜っと・・・・・』
フリーズです。
知識として仕事の上で必要とする人や専門家
でない限り、難しいと思います。
では、学生の頃を思い出してください。
例にあげた英文
『The station is about 5 minutes from here.』を
日本語に翻訳する場合、まず読みながら
何をしていましたか。
よめる単語でも正しい意味を知らなければ、
まずそれを調べると思います。
つぎに、それぞれの単語の意味を並べ替えて日本語
として通じる文章を作り上げる。
そして「“駅はここから5分ほどのところに
あります。”と言っているんだ」と理解する。
ここまで理解できれば、他の人に説明することもできます。
ひとつの文章に対して言葉の意味を調べて、文脈を考え、
文章の意味を考える、と段階を踏んでじっくり理解
しようとします。
これが日本語となると、ここまでやらなくなるのは
なぜでしょう。
数をこなすための “ よみかた ” 時間のロス
本や記事をじっくりよんでいると、普段よく使う
簡単な言葉でも
「その言葉の意味は?」と問われると
戸惑ってしまう言葉が実は、数多くあることに
気づきます。
ただこれは、数をこなすための “ よみかた ” では
ほとんど気付けません。
その結果『なんとなく分かった感じ』になってしまい
結局、理解には至りません。
6つのポイント 自分にあった “ よみかた ” も見つかる
・ひとつの文章をじっくり読む。
・“知ってるつもり”の言葉も見逃さない。
・意味を問われて答えられない言葉は意味を調べる。
・文章の意味を考える。
・文章を自分の言葉で要約してみる。
・他の人に説明できるレベルで理解する。
これを “ たくさんの本 ” ではなく、自分の読みたい
1冊の本の中で繰り返します。
そうすると、ある一文に疑問がわいてきたり、それを
さらに深掘りしたり、覚えておきたい、忘れたくないと
思った一文に線を引いたり、メモに残したりする
ようになります。
そして記憶に残っていきます。
これを習慣にすることで
『書いていることが理解できる、頭に残る』
“ よみかた ” が身に付いていきます。